テクノラボ講座その2:「設計」

 

デザインと設計の違い

はじめて「設計」という言葉を聞いた方は、「デザインと何が違うの?」と感じることが多いでしょう。

まずはそこから説明いたします。
「デザイン」は一般的には外観意匠にかかわる部分を創り上げることを指しています。
対して「設計」はより詳細な機構・構造にかかわる部分を作り込むことを指しているのです。

 

デザインの稿で述べた内容で言えば、デザインが「売れる」という目標を達成するためにより広い範囲の仕事をしているのに対して、設計はデザインが決めた枠内でより深く、具体的かつ詳細なディテールを仕上げてゆく仕事です。

当社が頻繁に行うIoTデバイスのケース設計では、例えば次のような作業をしています。

・外形についてデザインに従って正確な寸法を設定する
・量産時の加工技術を想定し、その加工技術で製作できる形状になるように構成部品を形づくる
・各部品のコストが妥当になるような形状を検討する
・部品同士に嵌合があればその構造と寸法を決める
・複数部品の締結方法を決め、そのための構造を形づくる
・内蔵物があれば、内部形状との干渉を確認する
・組み付けができるよう、各部品間の隙間を検討する
・複数部品を組み立てる場合、手順を考慮して矛盾が生じないようにする

割と細かくて深いですよね。

因みにデザインと設計には、どちらも英語ではDesignと訳語が充てられます。敢えて正確に表現しようとするならば、デザインは「Styling Design」、設計は「Mechanical Design」と書き分けることも出来ます。

 

 

設計の役割の重要性と難しさ

プロダクトデザインの世界で近年よく用いられる「デザイン思考」の本によれば、製品開発の成功を決めるポイントとして、3つを挙げています。

製品そのものの<有用性>、<実現性>、<経済性>です。

この3つの観点から見ると、デザインの範疇になるのは「製品の有用性(その製品が消費者にとって役に立つかどうか)」です。
一方で設計の範疇になるのが、「実現性(製品を実際に製品として作ることが出来るかどうか)」と、「経済性(消費者の求める価格で販売しても利益が出るかどうか)」です。
デザインと並んで設計が大変重要な仕事だと理解して頂けるのではないでしょうか?

また「設計」は、作業が製品の販売期間中ずっと続くという側面を持っていて、これが更に開発における設計の重要性を高めています。
「デザイン」は一度決まってしまえば終わりますが、「設計」は終わることがないということです。
はじめに行った設計情報を基に製品がつくられます。だから設計は実現性と経済性に影響があるのは先に述べた通りです。
しかしその後も設計は続くことになります。

製品を作ると、後工程で当初予見しなかった問題が次々発生しますから、この問題を解決するために継続的な設計修正が必要になるのです。

同じような冷蔵庫を何十年と作り続けているメーカーでさえ、新機種の設計後には予見できなかった問題に直面します。
初めて設計する製品で問題が少ないというのはほぼあり得ないことで、新製品開発では絶対に問題が発生します。
その後も節目節目で新たな問題が発生するので、設計はこれに対処し続けることになります。
(初期費用を投下して金型をつくる時、量産工程に入る時、出来上がった部品を組み立てる時、そして実際に製品を出荷した後など)

製品開発の難しさは、継続的に発生する問題に対して、常に設計が適切な答えを出し続けられるかだと言えます。
その意味で、製品開発にとって設計が重要になってくるのです。

 

なぜ製品開発の失敗が起きてしまうのか?

最近、クラウドファンディングでファンドを集めたものの製品を出荷できないというトラブルが増えています。
製品開発系のプロジェクトの1割近くになるそうです。
またベンチャー投資でも同様で、投資を集めたけれど最終製品が出荷できなくない企業もかなりの比率になると聞きました。
これら失敗の原因のほとんどは、設計、生産管理、品質管理のいずれかに起因します。
とりわけ設計に起因する失敗が一番多いと思われます。
設計の失敗はソフトウェアやエレクトロニクスが原因であることも多いのですが、負けず劣らずケース等のメカが原因で失敗していることも多いです。
メカの場合は初期費用が大きいので、失敗した時に受ける金銭的なダメージも致命的になります。
メカの設計が原因で失敗する理由をまとめましたので、ぜひ他山の岩としてください。

 

①そもそも設計や製造プロセスに関しての知識が圧倒的に不足している

最も多いのが、製品設計や製造プロセスについての基礎的な知識と情報が不足しているケースです。
例えば開発者の技術的水準が低く、プロトタイプレベルの設計でそのまま量産が出来ると勘違いしてしまう場合です。
1個試作する時、100個少量生産する時、1万個大量生産する時とでは、それぞれ製品設計が異なります。
それを理解しないまま、1個向きの設計で1万個作ろうとする開発者が結構居て、量産で動かなくなってしまうのです。
あるいは数が増えれば単純に安くなると考えて量産に突入したけれど、安くならずに困ってしまうケースも見受けます。
そもそもの設計が数が増えると安くなるものになっていないと、単に数を増やしてもそれほど安くはならないものです。
納期的にそんなにかかると思っていなかった!というケースもかなり見受けます。
こうした問題を起こさないためには、ひとえに勉強あるのみなのですが。

 

②設計意思決定について経験不足

一般的な製品開発の知識があっても陥るのがこの失敗です。
経験不足で適切な意思決定ができないことによってどんな失敗が起こるかを説明します。
まず最初に挙げるのは、いいとこ取りしようとして失敗するケース。
製品開発では、しばしばトレードオフとなる条件が存在します。機能とコスト、品質とコストなどがその典型です。
トレードオフ条件となるということは、つまり両者をいいとこ取りすることは原則的に出来ないということです。
どこかで妥協しなければなりません。
例えば品質面で妥協すれば、今度は販売相手に許容することをお願いしなければならないのです。
これには相当な覚悟が必要で、多くの製品開発者は決断が出来なくなります。
そして顧客側の要望を絶対視して、製造側への妥協が一切できなくなると、結果として開発が止まってこともしばしば起こります。
結局トレードオフがある場合、「落とし所」を明確に決めることが出来る意思決定スキルはとても重要です。
ちなみに「落とし所」はアーリーアダプターが多い当初の少量販売の時と、レイトアダプターが購入するマスプロダクションの段階で全く異なるものになります。多くの場合、大手企業で(レイトアダプター向けの)商品開発を経験した者が製品開発のプロジェクトマネージャーになることが多いです。
こうしたプロジェクトマネージャーの元では、製品開発担当が市場の要求水準以上のオーバースペックを志向し勝ちである、という点を指摘しておきます。
次に時期についてのトラブルも、経験に左右されます。
よくあるのが、最初の機能仕様の決定やデザイン設計で熟考しすぎてしまい、てスタートの意思決定を伸ばしてしまうケースです。
製造には物理的な工期がかかるだけではなくて、混み具合によって対応できないという事象も頻繁に起こります。
2ヶ月かかると言われた案件が、来月には4ヶ月かかることになる、というのはよくある話なのです。
結果として、意思決定を下した時には最終納期に間に合わないというトラブルが起こることも良く起こります。
それから、トラブル耐性が不足している開発者が多いように感じます。
トラブル耐性が低いと、ちょっとしたトラブルでもパニックになってしまい、なすべきことが出来なくなります。
単純に考えると、製品の製造は基本的に品位がバラつくものなので、
要求品質を高くことはイコール「不良品が常に発生し続ける」状態に近づいてゆくだけの話なのです。
製品開発に慣れた立場から見れば、要求品質を下げるか、特に気になる「不良」に絞ってそこを解消してゆくか、戦略を立てています。
それを優先順位に従って潰してゆけば良いだけなのですが、パニックになると見えなくなるようです。
最後に外注先との信頼関係の構築に失敗することも、経験に起因するでしょう。
例えば納期の話も、予算の話も、製品開発ではトラブルは常に発生しますから、外注先に無理をお願いせざるを得ないことがあります。
外注先と信頼関係が常に築くように配慮することは、経験の為せる技です。
これができていないと、いざという時に無理を利かせることが出来ずに失敗の確率がはね上がってしまうのです。
製造外注先におもねるべきではありませんが、かと言って高飛車に出れば良いという訳でもないのです。

ちなみに製造業の行う受託事業は、通常の商品売買と異なり、取引による利幅は元々非常に薄いものです。
その中で高いリスクがある(=面倒で手離れが悪い)客だと判断されると、発注したくても断られてしまいます。
自分たちの仕事は大丈夫だと思わせるような信頼感は取引に重要な要因です。
信頼感がない顧客は、誰からも仕事を頼まれないような質の悪い加工業者だけが、付き合うようになります。
こちらが買ってやる、という態度が前面に出ている商社さんなどが良く陥っている失敗です。
製造業の外注は職人気質の方が多いので、頭を下げておけば安くて品質の良いものが入手できるのに、単に高飛車に出てしまっただけで失敗してしまうのはとても勿体無いと思います。

 

③意思疎通の問題(海外での開発)

海外生産に開発・生産委託を行って上手く行かない、という失敗は最近はかなり減ってきたように思いますが、それでも一定数はこの手の失敗を耳にします。
この手の失敗のほとんどは意思疎通での問題だと思います。
当社にも実際に中国生産で問題があったとして当社に駆け込んでくる方も多く居ます。
現在では中国の技術水準は大変高いものになっています。
日本を上回っている部分もかなり多く存在しますので、言うほど酷いのだろうか?としばしば疑問に思います。
当社にも実際に中国生産で問題があったとして駆け込んでくる方が多く居ます。
「騙された」と言わんばかりでご自身の正当性をまくし立てる方もいるのですが、自分の主張ばかりで人の話を聞いていない人が多いように思います(笑)。
それは中国ではなくても問題になるよ、と個人的に感じてしまうのです。

それぞれの国や地域には事情があり、優れた所(例えば安いとか早いとか)があれば、劣った所(例えばポカが多い、とか)もあります。
優れた所を上手く使って、劣った所に抵触しないように仕事をすれば良いだけなのです。
劣った所だけをピックアップして、非難するのは意思疎通ではないと思うのですが、どう思われますか?

なお実際問題として「品質」については日本の市場は海外よりも高いものを要求しています。
ですから特に中国生産の場合は、品質がトラブルの原因になることが多いようです。
この市場の違いを中国側に説明した上で、多少のコストアップは許容した上で品質を上げる交渉をすると、経験上たいてい収束してくれます。
ただ高い品質で製品を供給することに慣れていない量産業者も多いので、国内以上に生産現場をコントロール出来るスキルが必要だとは思います。

 

 

④製品開発の意欲不足

最後に一番大きな原因を挙げておきたいと思います。
それは製品開発に関わる人間の「作りたい」という気持ち/意欲が不足している場合です。
上に挙げた3つの問題も、作り上げる意欲さえ高ければいずれ乗り越えることが出来るでしょう。
「どうしても解決する!」という強い意欲さえあれば、ほとんどの問題は何とかなります。
その上経験も蓄積されるので、その後の問題も解決し易くなってゆくでしょう。
しかし、この「どうしても解決する!」という意欲がそもそも欠けてしまっていると、どうにもなりません。
残念ながら大手企業がスタートしている委託案件では、この意欲の部分が欠けていることが多いように感じます。
上手くいかないのは当然かな、と思わせられることがしばしばです。

以上4つの理由が、製品開発の失敗で良く見かけるものです。

 

 

あるべき設計手法(メカに関して)

製品開発において、メカの設計はどのように進めるべきなのでしょうか?
まず最初に自社内で設計を進めるか、それとも外注に委託するかという選択を行う必要があります。
次に外注に委託することを選択した場合、どのような属性を持った外注に委託するかを判断する必要があります。それぞれについて詳細に見てゆきます。

①自社で設計人材を育成する

社内に設計人材を育成する方法であれば設計が持つデリケートな問題、すなわち継続的な設計対応に対処することが容易になります。
設計は重要であるからこそ内製化するという考え方です。
内製化には次に挙げる2つの方法があり、それぞれに長所短所が存在します。

設計スキルを有する人材を採用する

設計スキルを有する人材を中途採用して設計を進めるという選択肢がまず考えられます。
この方法はいきなり設計できる人材が社内に誕生する点がメリットです。

反面で製品開発の初期、販売に至るまでの間ずっと人材を抱えるという費用を負担しなければなりません。
さらに本当に設計能力がある人間を採用できるの、確証が持てません。
人は自分が分からないものは評価できませんから、設計者が十分な能力があるかが評価できるのは、自分に設計能力がある人だけです。
しかしそれがないから採用する訳で、鶏と卵の話になってしまいます。
とりわけ近年は設計業務が細分化されていることが多いので、設計経歴が長くても実態としては流れ作業をこなしていたに過ぎない設計者も多く居ます。
ゼロスクラッチで製品設計が出来る骨太な設計者は、実は僅かしか居ません(特に大手企業出身者の中では)。
適切な設計者を採用するのはとても難しいでしょう。

もし、何かの縁で十分に設計能力があると信じるに足る理由がある人を採用することが出来て、かつ彼/彼女を遊ばせておく金銭的余裕があるのであれば、この方法が最適だと言えます。

 

自社内の人間を教育する

次に社内の人間を教育育成するという選択肢が考えられます。
この方法は既に抱えた人材を再教育するので、追加的な費用負担が発生する訳でないというメリットがあります。
しかし社内の人間が設計できるようになるまで時間がかかりますし、もしかしたら設計できる水準まで到達することが出来ない可能性も考慮しなくてはなりません。

実際社内で人材を教育するのは非常に難しいと思います。ソフトウェアのコーディングと異なり、ハードウェアの設計は入門書や基本書が極めて少ないし、不十分なことが多いです。学習のためには実際に経験する必要がありますが、経験するにはモノを作るという実地訓練が必要です。ソフトウェアと比べてハードウェアは実地訓練にかかる費用がケタ違いなのです。

もし社内の人間が、既に他の分野の設計経験があって、かつ技術の習得が非常に速そうだという見込みがあり、かつ教育するために実績ある人間の指導が受けられる環境を準備できるのであれば、この方法は適切だと思います。

 

②外注に委託して設計する

以上のように社内で設計人材を準備するというのは、数多くの問題を孕んでいて一朝一夕に出来ることではありません。
多くの場合外注を使って設計委託をする企業が多くなっています。
次に設計委託を行う場合の選択肢について考えてみます。

設計外注に委託する

外部に委託する場合、最初の選択肢に挙がるのが設計外注への委託です。
「設計」という仕事を受託してくれると明言しているので、すごくわかり易いですし、近年は海外でオフショア開発するので安くてハイレベルです、といった企業も多くあって安心できそうです。
また設計が本業ですから、いつでも遠慮なく(お金さえ払えば)対応してくれる点でも安心できます。
こうした点は設計外注のメリットなのですが、デメリットも当然存在します。一番の問題は委託者と設計事務所の利害が一致しないということです(エージェンシー問題と呼ばれる奴です)
委託者にとっては最終的な製品の初期費用・製造原価が重要ですが、それはこの設計の良し悪しによって決まります。
後々のコスト発生要因となる不良の発生し易さもこの設計の良否で決まります。
委託者にとっては、後々のコストを最小限にする「設計」が良い設計となります。

それに対して設計を受託する企業はどうでしょうか?
設計が終わりさえすればチャージが貰えるので、早く簡単に終わるのが良い設計と感じることになります。
(現場はともかくも、経営者としてはそう考えます)
ですから委託者と受託者の利害はどうしても一致し辛いのです。

そして更に残念なことは、委託者自身が設計の良否を判断する能力を持っていないのです。
これは設計人材の採用と同じ問題です。
結局、この設計事務所は何だか凄そうだ、で業者を選定して失敗する(もしくは失敗に気づいてすらいない)ということが多いのが、外注の問題点になります。外注という選択肢は、委託する設計事務所が優秀で誠意があるという根拠があるならば良い方法です。
ちなみに設計事務所は大手の下請けをしている所が多いです。
大手の下請けだから安心という考え方はむしろ逆だと言う点は指摘しておきます。
大手メーカーの場合、仕事が細分化されていてかつそれぞれのタスクにタクトタイムが設定されていることが多いので、CADが操作出来るだけで設計スキルが低い人間ほど使い道があるのです。
むしろ独自に高い設計スキルを持った人間は使い切れないので、大手の下請け仕事から外れる傾向にあります。

量産メーカー/EMSに委託する

設計外注と比べて量産メーカーに設計も含めて依頼する方法は、最終の供給製品を前提として委託する方法ですから、委託者と外注メーカーの利害が一致し易く、エージェンシー問題も発生しづらい選択肢です。
製品原価と初期費用の予算で合意することが出来れば、安く作れるほど受託したメーカーの利益は増えることになります。
安く作れる設計は、同時に不良を出さない設計でもあるので、双方にメリットがあるのです。

ですからこの方法が一番失敗が少ない方法だと思うのでお薦めしたい方法です。
ただ問題がゼロではありません。
数量が少ない場合はトータルの利益額が限られてしまうので、よほど高くしない限り、受託して貰えないことも多いのです。
予算面で合意できるのであれば、選ぶべき選択肢だと思います。

試作メーカーに委託する

最近は試作品を製造するメーカーが設計も受託するケースが増えています。
試作品業界は元々短納期対応が基本となっている所が多いため、特に納期がない製品開発などでは、すぐに実物を作ってくれるので選ばれることが多い選択肢です。ただしこの方法には設計外注と同様のエージェンシー問題が存在します。
試作メーカーは結局試作品が出来れば利益が生まれます。
しかし量産時のコストは、むしろ高い方が試作メーカーにとって好ましいと言えます。
また試作メーカーは製品単価が非常に高い業界であり、量産時の単価設定も非常識に高く設定されることが多くなります。

納期が極めて限られていて、かつ総生産量が著しく少ない場合(数個~十数個)、これらの不利な点が全てなくなるために、とても有効な選択肢になると思います。

 

デザイナーに委託する

デザイナーにデザインを委託した後、そのまま製品の供給までデザイナーが請け負うという選択肢があります。
基本的には製品のデザインコンセプトを作った人が最終製品まで手がける訳なので、EMS同様、安心な方法です。
デザイナーは「売れる」ことを前提としてデザインする訳ですし、売れるほど自らの利益も増えるので、エージェンシー問題は発生しません。
理屈の上では良いことづくめの方法です。

如何せんこのような製品までの受託をするデザイナーは、極めて少ないのが実情です。
これはおそらくデザイナーの多くが個人事業主だということに関係しているのでは、と思います。
製造は様々なプロセスに渡る非常に幅が広くて深い知識が必要なので、組織として成果を出す必要があります。
個人プレーでは単発では頑張れても、長期的に安定してQCDを保った供給を行うのが難しいのかも知れません。
気の合うデザイナーさんが最終製品まで請け負ってくれて、一緒に利害を分け合えるのであれば、是非お薦めすべき方法ですが。以上、いずれの方法がベストかについては、企業毎に前提条件が変わるので何とも言えません。
総じて言えば、委託する側が少しでも知識をつけることでより有利な選択肢が増えてくるものだと思います。

 

設計手法についての近年の動向

以上、設計は非常にややこしい部分があることを説明してきましたが、近年の動向としてはこうした問題が少しずつ和らいでいる方向にあります。
3Dプリンター等の試作技術の進展と低価格化によって、実物を使って設計を検証することがより容易になって来ていることが背景にあります。外注に委託する場合でも、委託者が図面から全て読み取る必要はなく、わかり易い実物を使って評価と指示をすることが出来るようになりました。
意思疎通も図りやすくなりましたし、相手も評価がし易くなっています。
社内内製化する場合は、設計者のスキルが不足する部分を実物を使うことで補うことが出来ます。
問題点が認識し易くなりますから、設計スキルが向上するスピードも速まります。
こうした試作技術の進展によって、設計自体が年々身近なものになりつつあるのです。ただ3Dプリンターをそのまま量産に使うというのは、やや早計だと思います。
マスコミで騒がれているほど、3Dプリンターは万能ではありませんし、何より実用品とするには外観レベルが余りに低い完成度です。
試作以上の使われ方がされることは、当面はほとんどないだろうと思っています。