プラスチックで思いをカタチにする会社 株式会社テクノラボ

プラスチックに着色してみる①

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こんにちは。金型設計の千葉です。

今回からは、金型設計から離れてプラスチックの着色についてお話します。

世の中には、さまざまな色のプラスチックが存在していますが、プラスチックそのままの色だと透明や乳白色が大部分を占めています。この色をナチュラルと呼んでいます。ナチュラル材に顔料や染料を使って初めてプラスチックにさまざまな色が付くわけです。通常、着色されたプラスチック(着ペレ)は25kg単位で購入しますが、テクノラボにおいては、ごくごく少量が必要で、また着ペレを発注するより顔料とナチュラル材を分けた方が早く材料を準備できることもあり、着色実験を行うことになりました。

プラスチックの色を作っていく方法は一般的に3つあり、

①着ペレを作り、そのまま使う

②マスターバッチと呼ばれる10倍や20倍の濃度で顔料を練りこみ、ナチュラル材に混ぜる

③顔料(ドライカラー)とナチュラル材を成形時に混ぜる

などがあります。

③は、手間やコストを見れば楽ではあるのですが、成形する側からしてみれば、成形機の中に顔料が残り、色汚染を引き起こす原因になるので、受け入れてくれる成形業者さんがなかなかいません。そのために、着ペレやマスターバッチと呼ばれる色付き材料を作ります。実際に色を付けるために使用する機械は、混練機や押出機と呼ばれる成形機に近い形の物を使いますが、別物になっています。

まずは、スクリュー部に残っていた樹脂を押し出してみて操作の方法を簡単に確認をしました。押し出しをした樹脂をガイドレールに流して回転するカッターに当ててペレット状にカットします。試しにカットの練習をしてみましたが、押し出す速度やカッターの回転数によって切れずに樹脂が突き返ってしまう事はよくありました。樹脂の材質や温度などによってカットのしやすさが変わっていき、条件出しがかなり大変なので、とりあえず内部に残った材料はそのまま流してマスターバッチの制作に作業をシフトしました。

まずは材料の準備。使用するプラスチックはABS、ドライカラーは色が分かりやすい青、通常の5倍の濃度でマスターバッチを作ります。プラスチックは放っておくと吸湿してしまうので、乾燥機にかけます。その後、ポリ袋に入れて油をまぶします。さらにドライカラーを入れて混ぜます。ドライカラーは、色によって使う量が違っていきます。特に、白色はかなり大量に使用します。なので、白色プラスチックの物性は顔料の影響を大きく受けてしまいます。

材料の準備ができたら混練機にホッパーを取り付け、材料を投入。スクリューを温め、既定の温度に達したら押出し開始。ドライカラーをまぶした材料はきれいに色が出ました。また、乾燥もよくしていたので樹脂が膨らまずに流れてくれました。しかし、うまくカッターが機能してくれず、温度や押出速度、カッターの回転数を調整することになりました。温度は高温になれば樹脂が柔らかくなりスクリュー内で流れやすくなりますが、高温のままだとカットしづらく、樹脂の分子が分解されていってしまうので、カットできるギリギリの温度を設定してあげて作業を再開しました。20分ほど調整をした後に上手にカットでき、ペレット状のマスターバッチが完成しました。

続いて、濃度を5倍から10倍に引き上げてバッチの制作開始。すると、押出された樹脂が膨らんでカットするレーンに入らないくらいになってしまいました。原因はドライカラーの乾燥不足とみて、まぶされた樹脂のまま乾燥機に入れることになりました。乾燥後に押出しを再開したら見事に問題が解決され、10倍バッチを作ることができました。

次回も別の材料・色でのバッチ制作をしていきます。