プラスチックで思いをカタチにする会社 株式会社テクノラボ

中国パートナー企業の工場訪問記

中国パートナー企業の工場訪問記

中国・華南エリア

こんにちは。菊地です。

先日、中国は華南エリアの協力工場十数社を訪問してきました。華南エリアとは広東省を擁する21世紀の「世界の工場」と言わしめた中国の工業地域のひとつ。私自身がこのエリアへ行くのは実に7年ぶり。その雑感をレポートしたいと思います。

 

東莞・深圳の位置

テクノラボではプラスチック製品の試作品や量産品の金型を作る際に、中国の協力工場にもお手伝いしてもらっています。広大な国土の中国の華南エリアに属する東莞市・深圳市に多くの協力工場を持っています。日本からの位置関係はこんな感じ。香港の上あたりですね。

香港経由で中国上陸 SkyLimo(スカイリモ)

羽田空港から深圳空港への直行便が無いので、中国への入国はまず香港国際空港へ降り立ち、そこからフェリーで深圳へ渡るのが定番です。でも今回は時間の関係で陸路で中国本土へ上陸することにしました。過去に陸路で上陸したことがあったのですが、バス利用でえらいややこしい事になった経験から、ネットで調べたところ、SkyLimo (航天跨境轎車)←[宇宙船っぽくてかっこいい]って言う乗り合いタクシー的なものがヒット。なにそれ? 香港⇔中国の国境(?)を越えるのに下車する必要のない便利な手段だと! 待ち時間はほとんどないし、フェリー同様にクレジットカードで支払いできるので、香港を通過するだけなら香港ドルの両替も不要でおすすめです。私はこちらブログ(香港空港から深圳・広州へ移動する方法)を参考にさせていただきました。

 

SkyLimo乗車場所

クルマは7人乗りのベンツやアルファードクラスなのですが、乗客6人の乗り合いなので、知らない人と一緒に満席になったら出発。乗車したまま30分ほどで中国大陸へ進入。車を降りて入国手続きを済ませ、あとは約1時間地下鉄に揺られて、とりあえず東莞のホテルにチェックイン。

たまに走ってくるポンコツ車

東莞市内の道路の往来を見てまず思ったのは「イイ車が増えたな~」という事。深圳は以前から高層ビルやマンション群と高級車も多く見られたのですが、ひと昔の東莞はまだ田舎の雰囲気。経済発展著しい中国にあって、隣り合わせのここ東莞の様子もずいぶん違って見えました。スクーターの90%以上が電動で音もなくやってきます。でもたまに「えぇーッ!」って思うポンコツ車両も現役で走ってたりします。まだカオスな部分も点在していてひと安心。(なんで?)

プラスチック加工工場めぐり

プラスチックで製品のカタチを作るには、その目的や数量によっていくつかの方法があります。試作品を数個だけ作る方法や、数十個~数百個の少量生産。はたまた数千~数万個の大量生産。各協力工場にはそれぞれ得意とする加工方法があります。今回は中国のプラ製品工場の様子を写真を交えて紹介しましょう。

試作(手板)工場・切削加工

試作のことを中国語では「手板」と表現するそうです。Webなどで普通に調べると「手のひら」と出るのですが、工業用語では手板(shǒubǎn)が試作・模型を指すとのこと、はじめて知りました。プラスチックで試作品を作る代表的な方法をテクノラボのホームページに紹介していますのでご参考に。

 

整然と並んだCNC加工機

3D CADで設計したモデルを試作で忠実に再現するにはまず切削加工です。3Dデータを基にコンピューター制御されたCNC加工機でプラスチックの塊から正確に削り出していきます。中国では中小規模の工場でもたくさんの加工機を保有している場合が多いです。さすが世界の工場と言われるお国です。

かなり大きな試作品

切削部品をいくつか貼り合わせて、こんな大きなサイズの試作品を作っている場面にも出くわしました。当然手作業になるわけですが、この工場ではとても丁寧に仕上げていて感心しました。

木目と木質の手触りを再現した試作品

また削ったり複製したものに、表面をざらざらにする後加工をしたり、特殊な印刷を施したりして質感をコントロールし、より開発者が意図するカタチに近づける努力が試みられています。もう日本が培った技術と遜色ないところまで来ています。

試作/微量産工場・真空注型

試作品を1セット作るだけなら切削品でOKですが、これを十数個作りたい時には上記の切削品などを型取りして複製を作る真空注型という選択肢があります。

 

自動車のダッシュボードの試作品

比較的小さいサイズの真空注型品は見たことがあったのですが、ここで作っていたのは自動車のダッシュボード。表面の具合もほぼ本物… というか本物。自動車にはこのダッシュボードの部品にいろいろと部品が装着されるわけですが、開発段階ではこの試作品に対して他の試作部品を取り付けて評価が繰り返されるので、より一層の精度が要求されるのだそうです。

大型真空注型器

この工場ではダッシュボードのような幅が2メートル近い部品を作るために、特注の

中国で試作って… な~んて心配するのは今は昔のお話。もちろんピンキリはありますけど、技術屋出身の若い起業家が多いこの地の技術や品質へのこだわりが高い工場では、最先端の製品開発に寄与している工場がいっぱいあるんですよね。ちなみにこのあたりに拠点を置くHUAWEIは、若き創業者の目標になっているとか…

Breaking time

ちょびっとだけ試作関係を紹介しましたが、ここまでで既に二日間。一日に3社視察って簡単かな~って思っていましたが、見れば見るほど時間がかかります。一番の鬼門はお茶。社長さん自らお茶でおもてなしっていうのは昔から鉄板。どの会社へ行っても社長室にはお茶テーブルが備え付けてあります。しかも古典的な風情を残しながら、実はハイテク。

 

シックでハイテクなお茶テーブル

湯沸かしポットはIH化。いつでも適温でお客様をお出迎えです。そのデザインは様々ですが、社長さんのこだわりが伺える装備が見られます。

電話しながらでもお茶は忘れず。

中国茶のお作法を自然な感じでこなしつつ、お話ししながら次々とこちらの湯のみが空にならないタイミングでついでくれます。(左が私です。)

量産・金型・射出成型

さてプラスチック製品の量産になると、数万個の部品をじゃんじゃん作るイメージがあると思いますが、テクノラボが得意とするところは、その手前の数百個の少量生産です。今までにない新しい製品は、最初からドッカーンと売れるとは限らないですもんね。

プラスチック製品の量産方法もいろいろありますが、比較的大きくて、それほど精度の要らないカバーのようなものを作る、真空成型の工場も見てきました。真空成型って簡単に言うと、プラスチックの板を熱して柔らかくして、凸凹した金型にキューっと吸い付かせて変形・成型するやり方で、ゲーセンのゲーム機筐体や夜店のウルトラマンのお面(知らない?)がこの方法で作られています。

 

カートのボディ

遊園地のカートのボディなんかもこの手法で作られているものも多いんですよね。ここでもその基になる金型の製作には、試作で紹介したCNC加工機が活躍しているんです。

超大型真空成型機

この会社では創業者がより大きな成型品を作るために、自ら見よう見まねで成型機を設計~製作して、当時もっとも大きな真空成型品を作れる工場になったんですって。感服。

そしていよいよ皆さんも身の回りにいっぱい転がっているプラスチック製品。おもちゃにはじまり、スマホもそう、TVのリモコンや身の回りのかなり多くのプラスチック製品が、射出成型という方法で作られています。数万個~数十万個というプロダクツは高価な本金型を使って作られます。

 

精密な構造のスマホの金型

たとえばこのスマホの金型。スマホといえば中国が産地というイメージが定着したと思いますが、いまやかなりの精度と品質で金型を作る技術が中国にあります。

当社金型設計隊長の厳しいチェック
若き創業者の熱心な説明

 

ドローンのボディと羽根

またDJI社に代表される、成型部品のバランスが命のドローンの機構部品。品質管理面もかなり進化しています。

弊社が得意とする少量生産は簡易金型を用いることが多いですが、簡易といっても、その金型加工には高度な技術を必要とします。実は簡易金型を製作できる工場はそんなに多くはないんです。また金型を組み立てて調整し、製品ができる状態にするのはテクノラボの仕事。ここは信頼できる技術を有する工場とのコラボレーションなのです。

 

温度管理された部屋にある高精度CNC加工機

最も信頼できる工場のひとつが導入した、最新型のCNC加工機を拝見しました。金型は金属ですので、周囲温度の変化でわずかに膨張/収縮します。ほんの微々たる変化なのですが、それをも見逃さないように、完全に温度管理された部屋に機械を設置して加工精度を確保するのです。こういう取り組みを惜しまないパートナーがいることが、テクノラボの強みであると再認識。

 

久しぶりに赴いた中国の製造現場。ほんの数年で印象はずいぶん変わりました。整頓された工場、社員への品質に対する意識付けや設備投資の積極性 etc.

日本の製造業の99%を占める中小企業では、技術・技能人材において、人材確保に一層の厳しさを増しているようです。この課題を傍目に、中国では中小企業が躍進しています。IoTをはじめとする第4次産業革命に関連して、国内外の良質なパートナーと、新しいモノ、面白いモノを生み出し続ける流れの中で生きていきたいな~、なんて気持ちがさらに明確になった視察旅行でした。