プラスチックで思いをカタチにする会社 株式会社テクノラボ

浅草寺の瓦はチタンだった( ゚д゚)!素材の展示会SURFACE MATERIALSを振り返る

浅草寺の瓦はチタンだった( ゚д゚)!素材の展示会SURFACE MATERIALSを振り返る

SURFACE MATERIALS展

こんにちは。テクノラボ新海です。

業務の一環として、企画展SURFACE MATERIALS ~機能を生み出す美しいサーフェス~に行ってきました。
この展示会はMaterial ConneXion Tokyoで開催されており、私は当日行われた出展企業プレゼンテーション会に参加してきました!


企画展SURFACE MATERIALS出展企業プレゼンテーション会は素材開発メーカーが製品の表面=SURFACEの素材=MATERIALSの特性、事例と開発過程、今後の展開を紹介し、製品に素材の持つ魅力を引き出し与えることで製品の機能を高める・多用途化・既存の素材からの転換など、また、製品に色調・質感の幅を広げ、デザイン面での応用、新分野の製品の自社開発、関連して、会社の業態、事業分野、海外展開等まで含めてプレゼンテーションする素材提供側にとっては広報の機会としてあります。

私のような素材を使用する側にとっては、素材から製品のアイデアを広げ、製造面での技術的課題に素材特性を適用し解決策の考案をし、そして最先端の素材から得られる将来性を含めたプロダクトのイノベーションまで、非常に多くの参考になる情報を仕入れることができ、有意義な時間でした。参加された素材メーカーの方々、ありがとうございました。ブログではありますが、この場を借りてお礼を申し上げます。

さて、前置きが長くなりましたが、展示会場の様子をまず紹介したいと思います。

企画展の概要

企画展の様子です。
プレゼンテーションの休憩時間に撮影しました。
盛況でした!

企画展では、参加企業のブースが5企業分棚付き机に用意されており、机には素材の見本、小冊子、デモンストレーションのための装置等が並べられ、壁際の作り付けの棚には常設展企業の展示もありました。企画展と常設展の間のスペースにはプレゼンテーションのときに参加者が着席できるように椅子が配置され、参加者は並べられた椅子の数よりも多く、間隔をつめて座ることになり、企画展の人の多さがうかがえました。15:00からの出展企業プレゼンテーションは各社10分、16:30まで続けられました。1時間30分にわたるプレゼンテーションでしたが、あっという間でしたね。

プレゼン各社の発表タイム

それでは、発表の内容に発表前後のフリータイムで聞いた内容を補足して1社ごとに見ていきましょう!
発表が始まります!

1社目は日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社さんです。日本ペイントさんは工業用塗料を製造している企業です。材料の加工前に使用するプレコート塗料や、セラミック建材塗料を製造しています。プレコート塗料には、硬化速度を調節することで、ひびわれ意匠を作り出す大柄ちぢみ塗料などがあり、住宅の外壁に使われています。また、日本ペイントさんの開発品には、吸着型粘着剤があり、これは塗膜の内部に気泡を発生させることで吸盤構造が生成され、壁面に張り付くという新技術の粘着塗料です。吸盤構造のため、凹凸面に貼り付け可能で、貼り付け貼り直しも容易かつ、糊が残りにくいという特徴を持っています。表面の拡大写真はスポンジの表面のようでした。用途としては内装や床材を想定しているそうです。

2社目は月星アート工業株式会社さんです。月星さんはステンレスの表面加工メーカーです。スパッタリングやエッチング加工などをしています。スパッタリングとは、真空内に設置した金属に、高電圧をかけプラズマイオン化したガス(Ar等)を衝突させ、金属分子を弾き飛ばし、膜をつけたい材料の表面に堆積していくことで膜を形成する技術です。月星さんのノイエスは、スパッタリングによるセラミックコーティングです。ルイヴィトンの店舗で採用されているそうです。金属色が綺麗で高級感があります。エッチングとは、金属の表面にマスキングし溶液に漬け、マスキングしていない部分を腐食させ、不要部分を除去する技術です。写真フィルムを使用することで高精細なデザインを加工することが可能です。サンプルとして細い線がデザインされたプレートを頂きました。

3社目は積水ナノコートテクノロジー株式会社さんです。積水ナノコートさんにはmasaカラースパッタリングという、繊維に金属をスパッタリングする技術があります。この技術は繊維素材の風合いを維持しながらも金属をコーティングすることができる点が特徴です。金属色は金属の種類や厚みを変化させることで多様な色調を表現しています。金属をコーティングしているため、遮熱性がありカーテンに使用されています。また、電磁波を反射する性質もあるため、産業用品目的でも用いられているそうです。展示会にはメタリックな発色のカーボンクロスと日傘がありました。

4社目は新日鐵住金株式会社さんです。新日鐵住金さんはデザニングチタンTranTixxiiを提供しています。TranTixxiiは軽い、強い、錆びないというチタンの特性に加えて、豊富な色調が可能で変色しにくい特徴があります。チタン表面の酸化皮膜が光を干渉して色が現れ、皮膜の厚さを変えると色が変わります。光の干渉の現象のため、見る角度や環境によって変化します。天気で色が変わるそうです。また、ざらざらとした表面仕上げは反射光を弱めるため、眩しさを抑えることができ建築の屋根に使用されます。具体的には浅草寺本堂の瓦に使われています。3種類のブラスト仕上げで瓦の焼きむらを再現しているそうです。写真だけ見ると本物の瓦に見えます。余談ですが、雷門は土の瓦だそうです。

5社目は三菱ケミカル株式会社さんです。アクリライトというアクリル樹脂があります。アクリライトには、すりガラス調の半透明にみえるアクリルがあります。すりガラス調ですが、表面は鏡面(つるつる)です。また、難燃グレードのアクリルもあります。通常、アクリル樹脂は可燃性です。しかし、アクリライト難燃グレードは火をつけても消える自己消化性を持っています。テクノラボでも難燃グレードが求められることがありました。難燃性も材料の性質のひとつです。

6社目は株式会社NBCメッシュテックさんです。メッシュ(網)を製造しています。網目が数ミクロンのメッシュやナノ粒子を活用した機能性メッシュなどがあります。展示会場には、グラデーションのメッシュでできた小物入れがありました。メッシュの網目は細かく、軽いものでした。展示会のブースのポスターもNBCさんのメッシュで出来ていて、写真や文字も印刷されていました。展示会のこういった工夫は参考になります。

7社目はスターライト工業株式会社さんです。スターライト工業さんは炭素繊維を提供していて、炭素繊維を西陣織にした炭織華というものがあります。西陣織はフクオカ機業さんが生産していました。しかし、西陣織は需要が減る一方で、技術が途絶えてしまうことを心配されたそうです。そこで、新素材の炭素繊維に目をつけ、西陣織を炭素繊維で織ることを考えました。生地に樹脂をコーティングすることで耐久性のある織物ができ、商品化にも成功しました。

8社目はエヌシー産業株式会社さんです。穴あけの専門的な会社です。ドリル加工では非常に小さい穴を精度高く加工でき、多様な素材に対応しています。エラストマーのような柔らかい素材にも穴を開けることができ、G-SHOCKの時計バンドに使われているそうです。他にはスマートフォンのスピーカー部分の小さい穴も加工しています。穴の直径を変化させることでパターンを作り出し、装飾として使える素材もありました。穴が沢山開いているので、透ける感じが良さげな素材でした。

素材サンプル

展示会では一部の企業から素材のサンプルを頂きました。

サンプルがあると後日、素材を確認したいときに便利です。

積水ナノコートテクノロジー株式会社さん、月星アート工業株式会社さん、NBCメッシュテックさん、エヌシー産業株式会社さんにサンプルを頂きました。ありがとうございました。

エヌシー産業株式会社さんのドリル加工見本は蛍光灯に透かさないと見えないほど小さい穴が開いています。

展示会を振り返って

プレゼン記事は長くなってしまいました。読んでいただいた方お疲れ様でした。

展示会全体を振り返ってのまとめを書きたいと思います。

印象に残ったものについて。

浅草寺の瓦はチタンだった( ゚д゚)! タイトルにも書きましたがこれには驚きました。浅草寺というと、東京の観光地といえば浅草寺な感じで有名どころです。その浅草寺本堂の瓦は当然、昔ながらの土の瓦だと勝手に思い込んでいました。しかし、最近は瓦も進化していて、見た目は土の瓦そっくりのチタン製瓦に葺きかえられていたんですね。観光客が多く参拝する浅草寺では土の瓦は落下の心配がありますが、チタン製瓦は土の瓦より軽いのでその問題もなくなるというメリットがあります。チタンというとシルバーでキラッとしている近代建築に使われるものだとばかりと思っていましたが、こういった燻し銀の伝統建築にも使われているとは新鮮な発見でした!面白いアイデアだと思います。チタンで瓦を作ろう!とは普通ならないかなと思います。目の付け所の良さは参考にしたいですね。

今後に生かしたい展示会のデザインについて。

展示会場のデザインも気に入りました。展示会場はビルのワンフロアにあるため小さいスペースでした。しかし、見やすく快適なデザインになっていたと思います。ここの展示会では、出展企業のブースが机とポスターで構成されていました。机の上にはサンプルが素材の違い、色の違いでカテゴリ化して並べられていたのが良かったと思います。ポスターも紙ではなくてメッシュになっていて、質感に訴える感じがこの展示会の趣旨にあっていて会場の印象を強めていました。マテリアルコネクションさん流石です!テクノラボでも展示会に出展するときがあれば、こんな感じで会場をセッティングしたいですね。

以上、SURFACE MATERIALS展のまとめでした。

素材を見るだけでも面白い(゚∀゚)ですし、さらに浅草寺の瓦はチタンなんですみたいな、( ゚д゚)な話もあり、行って良かったなと思います。

追記

Material ConneXion Tokyoさんはお引越しなさるそうです。
青山一丁目のオフィスは6/29まで営業しており、7/4から六本木AXISビルで営業を開始とのことです。
新しくなったMaterial ConneXion Tokyo、楽しみですね。

マテリアルコネクションについてのこの記事もおすすめです。

テクノラボHP:http://www.techno-labo.com/index.html